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「有限会社 サン自然薬研究所」
代表取締役 研究所長
医学博士 小松靖弘 プロフィール
President & General Manager
Dr. YASUHIRO KOMATSU (Ph.D.,D.V.M.)

 明治薬科大学客員教授 順天堂大学医学博士(細胞免疫学)

1941年東京都生まれ。医学博士。
1964年東京農工大学農学部卒業。1977〜1978年 Department of Cell Biology, Auckland University New Zealand 留学。
J.Marbrook 教授 のもとで細胞免疫学を学ぶ。1979年〜1985年 順天堂大学医学部 組織培養研究室にて、抗ウィルス剤、インターフェロン誘導剤に関する研究に取り組む。1984年順天堂大学医学部にて、インフルエンザウイルス感染細胞特異的細胞障害リンパ球の誘導に関する研究にて、医学博士の学位を授与。1993年より、東京女子医科大学東洋医学研究所、筑波大学医学系東洋医学、大分医科大学薬理学教室、金沢医科大学血清学教室にて非常勤講師を歴任。
東京農工大学を卒業後、大手製薬企業、大手食品企業の研究開発部門にて新薬開発研究に従事。
1984年〜2000年、最大手漢方薬企業、(株)ツムラにて漢方薬の薬効薬理研究に注力。 2002年から(有)サン自然薬研究所代表。
2005年より、明治薬科大学客員教授
専門分野は免疫薬理学、アレルギ−学であるが、広く漢方薬、生薬の薬効薬理研究を手がけ、本分野の研究では指導的役割を果たいしている研究者の一人として知られている。
趣味:歌舞伎、落語、海外旅行
「和漢医薬学会」 評議員。
「獣医東洋医学研究会」 副会長。

サン自然薬研究所 代替医療研究会 「健康と食を考える会」 会長

「研究歴」
昭和35年〜昭和46年 東京農工大学農学部獣医学科 薬理学教室
昭和52年〜昭和53年 Department of Biology, Auckland University New Zealand 留学。
J.Marbrook 教授 のもとで細胞免疫学を学ぶ。
visiting research fellow in Cellular Immunology ( Dr. john Marbrook Laboratory )
Studies on cytotoxic lymphocytes
昭和79年〜85年 順天堂大学 医学部 組織培養研究室にて、抗ウイルス剤、インタ−フェロン誘導剤に関する研究に取り組む。
昭和58年 順天堂大学 医学部にて、インフルエンザウイルス感染細胞特異的細胞傷害リンパ球の誘導に関する研究で医学博士の学位授与。

「講師歴」
平成5年〜平成7年 東京女子医科大学 東洋医学研究所 非常勤講師
平成9年 筑波大学 医学系 東洋医学 非常勤講師
平成11年〜平成12年 大分医科大学 薬理学教室 非常勤講師
平成10〜平成15年 金沢医科大学 血清学教室 非常勤講師
歴任

「資格及び学位」
昭和39年4月 獣医師 獣医師国家試験合格
昭和58年5月 医学博士 順天堂大学 医学部

「職歴」
昭和39年〜昭和44年 大正製薬株式会社 研究部 薬理研究室
*抗炎症薬の開発、抗リュウマチ薬「オパオイリン」の開発
*抗リュウマチ薬の開発基礎研究(免疫学的研究)
昭和45年〜昭和58年 日清製粉株式会社 中央研究所 生物研究室
*創傷治癒促進剤の開発(ビタミンA酸誘導体、オルセノン軟膏)
*インターフェロン誘導体、抗ウイルス剤の開発
昭和58年〜平成11年 株式会社ツムラ
*ツムラ薬理研究所免疫薬理研究室長 (漢方薬の免疫学的作用に関する研究 十全大補湯 他)
*ツムラ本社 企画開発室 開発渉外部長 海外担当 (抗真菌剤「アスタット」の開発)
*ツムラ本社 企画開発室 漢方研究企画部長 (大学における漢方薬の薬効研究の企画、実施)
*ツムラ漢方生薬研究所長、薬理研究部長 (漢方薬の薬効・薬理研究、生薬化学と薬効研究、実施と指導)
*ツムラ本社 学術部長 (大学、医療機関との学術交流(各領域漢方研究会、講演会等の企画、実施)
平成11年 株式会社クリエイテイブ・サービス社長 (漢方調剤薬局運営)
平成12年 株式会社 応微研 試験研究センター所長 (アガリクスの作用に関する研究)
平成13年 株式会社 霊芝総合研究所 顧問 (新規健康食品の開発)
平成14年 設立 有限会社 サン自然薬研究所 代表取締役 所長 現在に至る。

「サン自然薬研究所」 業務内容
*新規な健康補助食品の企画・開発及びコンサルタント
*健康食品の作用に関する基礎研究コンサルタント
*新規な健康食品素材に関係する情報収集


健康関連図書 監修のことば、 明治薬科大学客員教授 医学博士 小松靖弘

 今日ほど多くの人たちが健康に関心を抱いている時代はなかったように思われます。近代医学の発達で先進国と言われる国々の衛生環境は極めて清潔な状態になり、そして、より優れた医療技術が次々と開発され、多くの疾患が克服され平均寿命も更に更新されてきていると考えられます。しかし、残念ながら一見克服されたかのように見えた細菌感染症は未だ完全に撲滅するには至っておらず、抗生物質耐性菌の出現を許し、最近では話題から拭い去られていたはずの結核の集団発生のニュースを聞くことも度々です。皆さんにはお解りいただけていることと思いますが、先進諸国の疾病構造は昔と比べて見ても大きく異なり、微生物感染症は確かに減少しました。しかし、腫瘍(がん)や生活習慣病といわれる糖尿病、高脂血症、動脈硬化症あるいは慢性疾患である慢性リウマチ性関節炎、慢性腎炎などの治療には難渋しているのも事実かと思います。今後もこれら疾患に対する医薬品の開発は遺伝子情報を基にした新しい化合物の探索へと進んで行くことになると思われます。今日使用されている、いわゆる新薬と呼ばれる何万という医薬品はかなり少ない服用量で副作用を抑える効果を発揮するようになっています。しかし、病気を完全に治すことはできていないのです。エイズなどの新しい病気の出現もあり、また従来の病気も自然環境、社会環境の変化によってその様相も変わっていることも予想されます。このような状況になってくると自分たちの健康は自分たちの責任で守って行かなければならないことになります。薬食同源と言う言葉があります。食事と薬とは基(源)は同じであると言うように理解されていると思いますが、そうだとすると医食同源の方が言葉とすればしっくりいくような気がしますが、医食同源と言う言葉は病気の起こる根元はきちんとした食事を摂っていないことによるものであると言う意味であると考えられます。生活習慣病はまさにこれであり、動物脂肪の多い食事を摂り続けたとすれば高コレステロール血症となり、動脈硬化症に繋がっていくことになります。このような時、即ち動物脂肪を多く摂る場合には野菜、食物繊維の多い食べ物を一緒に摂り脂肪の吸収を抑制することが重要であるし、また摂取した脂肪分が燃焼できるような補助食品の摂取も重要なこととなると思います。ところで日本人の死因のトップであるガンに対しては、現在さまざまな治療法が試みられていますが、残念ながらその治癒率を100%にすることはできていないのです。ガンの放射線治療あるいは抗ガン剤治療はガン細胞ばかりでなく正常な細胞までも殺してしまい、それらの副作用で体の調子を崩してしまう結果となり、多くのガン患者さん、御家族の方々を悩ましていることと思います。このようなことから、最近になって再びガンの免疫療法が注目されてきています。私たち人間に本来備わっている自ら病気を治す力、即ち免疫力を高めてガン細胞を撲滅したり、ガンに罹らないようにするにはどうしたらよいかなどについて研究が盛んに行われています。免疫とは、少し難しく医学的に言うと「生体が自己と非自己とを区別して認識し、非自己を排除するシステム」となり、ガン細胞を非自己として認識して、殺して、排除してしまうのです。この方法は手術による苦痛もなく、抗ガン剤の副作用の心配もなく、高い期待が寄せられています。さて、キノコは私たちの健康維持に有効な食品として古来より利用されてきています。今日世界中で食用とされているキノコの選別にはきっと多くの悲劇が繰り返された結果であろうことは容易に想像されます。今日のような医学が発達しておらず、お医者さんもいなかった時代、人々はイヌあるいはネコなど他の動物と同様に体の調子が悪くなった時などには、自分自身で健康回復に必要な物を自然界から採り入れて、「薬」として用いていたに違いないのです。そして、キノコは体にきっと良い物であることを知り得たのです。現在、日本ではキノコから造られた医薬品が幾つか市販されています。中国ではブクリョウやチョレイなどのキノコが生薬として使われています。ところで読者の皆さんは最近、雑誌、新聞などに紹介され、大ブームになっているガンに効く食品として「アガリクス」の名前を聞かれたことがあると思います。このブラジル原産のキノコには以前よりガンに効くと考えられているβ‐グルカンと呼ばれる多糖体がたくさん含まれていることが明らかにされています。このβ‐グルカンはシイタケ、エノキタケ、シメジなど馴染みの深いキノコにも含まれているもので、その薬効についても研究され、免疫賦活作用、ガン細胞の増殖や転移を抑制する効果のあることが確かめられています。ガンに効くということで急激に有名になってしまったのがアガリクスです。日本中に色々な形でアガリクスが氾濫し、どこの物がどのように良いのか見極めるのも大変です。特に、有効成分と考えられているβ‐グルカンは体に吸収されやすい形になっていることが大切なのです。また、キノコとは別に、健康食品として知られる発酵食品が人類の知識によって誕生したことは良く知られている事実と思います。チーズやヨーグルト、パン、ワイン、お酒、味噌、醤油等々枚挙に暇ありません。乳酸菌製剤も世界中で色々と工夫されて、食品として市販され、人々の健康維持に大きく貢献しています。発酵は生体に吸収されにくい高分子化合物を吸収されやすい化合物に変えることのできる大変有利な方法なのです。
 私は、この古い二つのアイディアを巧みに融合させた、正に「温故知新」の考えから生まれた画期的な健康食品を推薦しています。この新しい健康食品はキノコの持っている健康に有用な物質を乳酸菌類の豊富なケフィアで発酵させ、それらがより有効に利用されやすい形に変換させた上、さらに色々な効果を持つケフィアも一緒に口にすることができると言う一石二鳥の食品です。免疫機能を正常に保ち、病気に強い体を造り、21世紀の健康な長寿社会に貢献できる素晴らしい健康食品と考えられます。

 平成18年度、明治薬科大学 薬剤師生涯学習講座 漢方概論 講師

平成18年、「健康産業新聞」掲載記事 

アガリチンとはどのような物質か?

明治薬科大学客員教授 医学博士 小松靖弘

 “マッシュルーム”と日本語で呼んでいるキノコ、この学名はAgaricus bisporus(アガリクス・ビスポラス)と言うが、これは有名になっているアガリクス(Agaricus blazei)と同じ仲間である。このアガリクス属のキノコには共通して“アガリチン”という毒性物質が含まれている事が学術雑誌に報告されている。このアガリチンの毒性はそれ程強いものではなく、メルク・インデックス(化学物質の辞書様書籍)を見ても、その急性毒性についての記述はない。
 アガリチンは1960年代に発見され、化学構造式も明らかにされ、合成もされた。水に良く溶ける物質で、消化管から極めて吸収され易い物質である。どのようにしたら毒性が軽減、消失するかなど研究されている。新鮮なマッシュルームには0.1マイクログラムから0.8マイクログラム/グラム(平均すると0.45マイクログラム/グラムほど)のアガリチンが含まれると報告されている。Schulzova V.(Czech、Republic)らはマッシュルームのどこにアガリチンが含まれるかを調べたところ、傘の皮膜(上皮)とヒダの部分に多く含まれ、クキ(柄)の部分は少ないと報告している。クキの部分は菌糸体で構成されている事を考えると、培養菌糸体に含まれるアガリチンの量はかなり少ない事が推測されるが、定量して見る必要がある。アガリチンは熱、酸素などに弱く、加熱調理をする事で殆ど分解されてしまうので、料理をして食用としている限り、健康に被害を与える状況は生まれて来ないと考えられる。
 アガリクスの熱水抽出エキスの場合アガリチンは加熱分解している事が考えられ、今回の試験で突然変異原性が認められなかった商品は、もしもアガリチンが影響していたと仮定すると、加熱処理が有効に作用していたものとも考えられる。
 アガリチンは代謝も早く、Walton K(University of Surrey、UK)らの研究によると24時間以内に尿、糞中に殆どが排泄されるとしている。また、その中に含まれる代謝物は突然変異原性を示さない事も報告している。アガリチンという化合物はチッソ(N)が2分子結合した、ヒドラジン(H2N=NH2)の誘導体で蛋白質、核酸などに結合し易い性質を持っていて、この化合物の誘導体には突然変異原性がある事が知られている。アガリチンの前駆物質、あるいは代謝物である4(ハイドロキシ・メチル)フェニルヒドラジン(4MHBD)は強い突然変異原性を持っている。Shephard SE.(Swiss Federal Institute of Technology、Swiss)、Walton KらはDNA(遺伝子)との結合について研究しており、マウスに経口投与されたアガリチンは腎の組織のDNAに最も多く結合しており、肝臓、腎臓のDNAにも少ないながらも結合する事を認めている。また、Walton Kらはアガリチン自体にはそれ程強い突然変異原性を示すわけではないが、腎臓の酵素で代謝された4MHBDが突然変異原性を示す一方で、肝臓の酵素では活性に強い物質は産生されずアガリチンの突然変異原性に影響しない事を報告している。
 発がん性を調べたToth Bはアガリチンを水に溶かして、マウスに自由に飲ませた時には発がんを認めていない事を報告した。しかし、この実験ではアガリチンは水に溶かして解放系に放置すると分解するまで、この結果が正しいか否かは今後も研究が必要と思われる。発がん試験の結果は色々な実験方法、条件で異なるため、真実を理解するには困難が伴う。また、アガリチンが生体にどの程度、いかなる影響を与えるかは今後の課題である。さらなる厚生労働省の研究に期待したい。

 平成18年度、明治薬科大学 薬剤師生涯学習講座 漢方概論 講師

最新情報:愛犬の痴呆症改善に期待高まる
人参養栄湯(にんじんようえいとう)


小松靖弘先生 リベラルタイム 2006.12 掲載記事より引用

役に立つ健康情報 ― 41

愛犬の痴呆症改善に期待高まる「人参養栄湯(にんじんようえいとう)

ジャーナリスト
◎油井富雄(ゆい・とみお)
1953年福島県生まれ。
早稲田大学文学部中退後、業界紙記者、「週刊現代」記者を経てフリー。
医療、健康食品問題を冷静な目で取材。

人参養栄湯というという漢方薬がある

漢方薬店でエキス剤が売られ、医師の処方であれば健康保険が適用される。適応症としては病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、寝汗、手足の冷え、貧血に用いられる。この漢方薬が長寿社会の救世主になる可能性が出てきた。
 この夏に開かれた和漢医薬学会で、人参養栄湯を動物病院の獣医が高齢犬に投与して、ペットの認知症改善の有力な治療薬になると確認したのである。また、脳神経外科医が人参養栄湯を高齢者に投与し、新たな認認知症薬としての可能性を示すデータも併せて発表された。
 和漢医薬学会の演者の一人で漢方薬に詳しい小松靖弘氏(医学博士・獣医東洋医学研究会副会長)は、「もともと人参養栄湯は、中国の宋代(九六〇〜一二七九年)に編集された「太平恵民和剤局方」に記載される処方で、漢方的な診断では気≠竍血≠ェ衰えた気虚、血虚状態の人に対し、気力と体力の回復を図る薬として用いられていました。現在では厚生労働省が定める人参養栄湯の適応症の中に認知症は入っていませんが、昔は健忘の人に対しても使われていたのです」という。
 現在の薬の適応症には、現代西洋医学に倣った病名や症状が表示されている。ところが、漢方医学は診断方法が西洋医学と異なるので、漢方医学と西洋医学では薬の適用も変わってくる。それだけに漢方薬の薬効には、いま表示されている適応症以外にも、意外な効果が期待される場合が多い。

確実な治療薬はない

 人間の脳血管性認知症やアルツハイマー型認知症には、進行を和らげる薬等はあるものの、決め手となる確実な治療法はまだない。
 事情はペット医療でも同じだ。東京・西荻動物病院院長の安川明男氏は、「他の病気やケガなら獣医の出番があるのですが、老化による犬の認知症には、これといった治療法がありませんでした」という。
 犬の平均寿命は十五歳ほど。それを超えると長生きの犬になるが、飼い主は、犬の老いとの闘いを目の当たりにすることになる。足腰は弱り、視力が低下し、白内障で失明することもある。聴力も衰える。飼い主の認知能力がなく、人と同じように徘徊したり、排尿や排便もままならなくなってしまう。
 安川氏の動物病院には、犬たちが次第に老いて、これまでの生活ができなくなり、飼い主たちが相談に訪れる。そんな老齢犬たちに安川氏は人参養栄湯を与えた。もちろん、科学的根拠がなく人参養栄湯を試みたわけではない。
 「人参養栄湯の認知症に対する基礎実験はしっかりしていたのです。痴呆の研究に取り組んでいる東京都老人総合研究所のデータでは、老齢ラットに投与すると脳の神経幹細胞に対して、賦活効果のあることを示していました」(安川氏)
 人参養栄湯の基礎研究では、東京都老人総合研究所の他に、北里大学生命科学研究所の山田陽城氏らの研究で、動物実験で神経成長因子をつくり出すことを促進する作用やアセチルコリンエステラーゼという認知症を促進する物質の働きを阻害する作用が確認されている。

三ヵ月で症状改善

 安川氏が最初に人参養栄湯を投与したのは、十六歳の柴犬の雌だった。症状は異常な食欲、食事以外は死んだように眠り、深夜から明け方にかけて、当然起き出して動き回る。歩き出すと狭い所に入りたがり、突き当たると後退するのに時間がかかり、起立姿勢は、頭部を下げフラフラとしてバランスが悪い。排尿場所を間違えることもしばしばだった。
 ところが、投与開始後六十二日目には、昼の寝たきり生活がなくなり、姿勢が良くなり、明け方に動き回ることもなくなった。百日目あたりには、認知症の犬の特徴である異常な食欲を示すこともなくなり、排尿場所を間違えることもなくなった。
 使った人参養栄湯は、顆粒状(カネボウ薬品)のもので、人体の投与量から体重換算して体重一kgあたり一日六十rを、餌に混ぜたり、オブラートに包んだりして摂取させた。
 人間用には、認知症の程度を表す長谷川式簡易知能評価スケールという判定スコアがあるが、犬の場合は、動物エイムイーリサーチセンターの内野富弥氏がつくった、さまざまな行動をチェックして数値化する痴呆評価スコアがある。スコアが五〇以上だと認知症と認定されるが、その柴犬のスコアは投与前が五〇で、百日後には三五になっていた。
 十九歳の雌の雑種犬の場合は、九十五日後に異常な食欲がなくなり、歩き出した時の旋向運動も消失、人や動物に対して無関心、無表情だったのが興味を示すようになった。この雑種犬は、内野式スコアが八三だったのが百日後には四九にまで改善していた。
 他の三匹を含めたスコアの変化は、投与前平均六一・五から平均四〇・五まで改善している。
 「柴犬の昼の寝たきり生活が治ったのには驚きました。犬の老化は、寿命から換算すると人間の約五倍のスピードで進みます。老いが目に見えて進む場合もあり、治療するのにも時間がないのです。人参養栄湯は、体力や気力を補う漢方薬であり、認知症だけではなく、老齢犬の生活の質の改善に有力な治療手段といえるでしょうね」と安川氏は語る。
 改善徴候が見られたのは平均七十九日目だった。犬の脳の老化という難しい病気なだけに長期の投与が必要なようだ。
 安川氏は、外科を得意とする獣医だが、尿路結石に猪苓湯、肝臓疾患には小柴胡湯の漢方薬の他に、がんにはキトサンやキノコ抽出物等を使用して治療にあたっている。今後は人参養栄湯が、認知症の老齢犬の治療の有力手段として、獣医たちの間で話題になりそうだ。

人の認知症にも効

 安川氏の犬への人参養栄湯の投与は、いままでのラットを用いた研究より進んだ動物実験といえるが、さらに、今回の和漢医薬学会では、人間を対象とした研究結果も発表された。
 東京都品川区のくどうちあき脳神経外科では、患者と家族の同意を得て人参養栄湯を認知症患者八人に三ヵ月投与して、その結果、患者全員に何らかの症状改善の作用が出ていた。
 また、人の認知症度を示す改訂・長谷川式簡易知能評価スケールも改善していた。ただ、元気になり言動に激しさが見られる患者も出て、投与量の調整によって、このマイナス面は改善している。人参養栄湯は、もともと人間用のものだが、人間の認知症を対象にする時には、必ず医師の管理の下にすべきだろう。
 今回の研究は、動物病院の獣医師たちだけでなく、愛犬家に朗報には違いない。そして、この研究から人間用の認知症改善薬として人参養栄湯が注目されそうだ。


最新情報:アガリチンの考察

Health Life
 第39回 平成18年3月15日掲載記事より引用


一連のアガリクス報道の中で、発がんプロモーションにかかわる成分としてアガリチンがクローズアップされている。

突然変異原性のある素材が
商品化されたのは不思議


サン自然薬研究所 代表取締役・医学博士 小松靖弘


 がん患者さんの間で「アガリクス」は重要な食品となっている。その食品に降ってわいた事件に製造、販売業者のみならず、消費者にも大きな衝撃を与えたのは事実である。そこで、先日のアガリクスに関する事件ですっかり有名になった「アガリチン」について少し調査してみた。
 スーパー・マーケットなどに並んでいるマッシュルーム≠ニ日本語で呼んでいるキノコ、この学名はAgaricus bisporus(アガリクス・ビスポラス)と言って、有名になっているアガリクス(Agaricus blazei、アガリクス・ブラゼイ)と同じ仲間である。このアガリクス属のキノコには共通してアガリチン≠ニいう毒性物質が含まれている事が学術雑誌に報告されている。 では、このアガリチンの毒性はというとそれ程強いと言うものではなく、メルク・インデックス(化学物質の辞書のような本)を見ても、その急性毒性についての記述はない。
 しかし、今回の厚生労働省研究で、キリンウェルフーズが販売していたアガリクス製品に突然変異原性が認められたと報告された。一般的には、販売しようとする素材に突然変異原性が認められた段階でその商品化は中止される。その意味でこの素材が商品化されたのが不思議でならない。
 アガリクスに限らず、これまでの健康補助食品を販売している企業が研究に力を注いで来なかったことがこのような事態を招来した訳で、反省してきちんとした科学的検証に基づいた健康補助食品の開発を望みたい。
 話を元に戻すと、アガリチンは60年代に発見され、科学構造式も明かにされ、合成もされた。水に良く溶ける物質で、消化管から極めて吸収され易い物質である。 食用のキノコであることから、どのようにしたら毒性が軽減、消失するかなど研究されている。 新鮮なマッシュルームには0.1μg から0.8μg/g(平均すると0.45μg/gほど)のアガリチンが含まれると報告されている。Schulzova V.(Czech’Republic)らはマッシュルームのどこにアガリチンが含まれるかを調べたところ、傘の皮膜(上皮)と、痞だの部分に多く含まれ、クキ(柄)の部分は少ないと報告している。
 クキの部分は菌糸体で構成されていることを考えると、培養菌糸体に含まれるアガリチンの量はかなり少ないことが推測されるが、定量してする必要がある。 アガリチンは熱、酸素などに弱く、加熱調理をすることで、ほとんど分解されてしまうので、料理をして食用としている限り、健康に被害を与える状況は生まれて来ないと考えられる。
 アガリクスの熱水抽出エキスの場合、含まれているアガリチンは加熱分解していることが考えられ、今回の試験では仙生露≠ノ突然変異原性が認められなかったことを考えると、もしも、アガリチンが影響していたと仮定すると、加熱処理が有効に作用していたものとも考えられる。
 アガリチンは吸収され易い物質である事は先に述べた。アガリチンは代謝も早くWaltonK(University of Surrey,UK)らの研究によると24時間以内に尿、糞中にほとんどが排泄されるとしている。また、その中に含まれる代謝物は突然変異原性を示さないことも報告している。
 アガリチンという化合物はチッソ(N)が2分子結合した、ヒドラジン(H2N=NH2)の誘導体でタンパク質、核酸などに結合し易い性質を持っていて、この化合物の誘導体には突然変異原性があることが知られている。アガリチンの前駆物質、あるいは代謝物である4一(ハイドロキシ・メチル)フェニルヒドラジン(4MHBD)は強い突然変異原性を持っている。Shephard SE.(Swiss Federal Institute of Technology、Swiss)、Walton KらはDNA(遺伝子)との結合について研究しており、マウスに経口投与されたアガリチンは腎の組織のDNAに最も多く結合しており、肝臓、腎臓のDNAにも少ないながらも結合する事を認めている。また、Walton Kらはアガリチン自体にはそれ程強い突然変異原性を示すわけではないが、腎臓の酵素で代謝された4MHBDが突然変異原性を示す一方で、肝臓の酵素では活性に強い物質は産生されずアガリチンの突然変異原性に影響しないと報告している。また、アガリチンが生体にどの程度影響を与えるかは今後の課題である。さらなる厚生労働省の研究に期待したい。
 これまで、色々と述べてきたが、アガリクチンは加熱することで分解して毒性のない物質に変化している。また、この物質を摂取した時にはグルタチオン、あるいはSOD(スーパー・オキサイド・ディスムターゼ)などの協力で毒性物質の生成を抑制することができるという報告もあり、アガリクスだけを摂取するのではなく、ほかの食品とも一緒に摂取することで危険性が排除出来る可能性もある。
 従って、ただ1種類の健康補助食品だけを摂り続けるのは、その効果を期待している訳で(アガリクスの場合抗腫瘍効果=j、その摂り方は医薬品%Iであり、食品的な考えからすると偏食≠ノ当たるのではないかと思うのである。このような摂り方は是非やめた方が良く、がん≠ヘキノコだけで治療できるほど単純で簡単な疾患ではないことを認識していただきたい。
 それにしても、がん患者さんのわらをもつかみたい≠サのような気持ちをもてあそぶかのような売り方で金もうけに走って来た健康補助食品販売会社の姿勢は誠に遺憾なことと日頃より苦々しく思っていた。
 このような事態が生じたのは、この種の健康食品を販売している企業が真剣な態度で、健康に関与する食品の研究に関心を払って来なかったことが最大の原因と考えており、この機会にアガリクスばかりではなくほかの健康食品を製造、販売している企業も十分に反省して欲しい。







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